【我が家の被災体験④】周りに支えられて始まる新生活（台風後およそ１ヶ月）

この記事は、前回に引き続き2019年の台風19号で被災した我が家の体験談です。私たちの経験を通して、皆様が少しでも自然災害の恐ろしさを知り、そのための備えや心構えを身につけるキッカケになれば嬉しいです。

前回分をまだ読んでいない方はこちらをどうぞ↓

台風後１週間〜１ヶ月

多忙を極めた１ヶ月

被災から数日経過し、娘は妻の実家に預け、妻もそこから出社することとなりました。

一方、人事部で年末調整を担当している私にとって、11・12月は一番の繁忙期。実家から会社まではドアツードアで約2時間かかります。これはちょっと無理があると上司に相談すると、会社の寮を借りられることになりました。それでも約1時間はかかるのですが。

平日は寮から出社し、終電近くまで残業、週末は部屋の片付けの傍ら新居探しという日々が1カ月ほど続きました。

私たちが住むのはファミリータイプの賃貸物件がなぜか極端に少ない地域で、新居探しはかなり難航しました。しかし、いつまでもこのままの生活を続けるわけにもいかず、マンションの管理会社から協力を得ながら、なんとか良い感じの部屋を見つけることが出来ました。

ここからはひたすら交渉。しつこいまでの被災者アピールで、仲介手数料は0円に、敷金は0.5ヶ月分をカットしてもらいました（笑）礼金も0がよかったな…。

初めて家族と離れて暮らす日々

入園して約半年、親も娘もようやく慣れてきた保育園でしたが、こうなってしまっては休ませるほかありません。娘の世話は義母にお願いすることにしました。長期に渡る孫の子守りで、最後の方は明らかに疲れを隠しきれていない様子だったのを覚えています。本当に、本当に感謝です。

疎開中の1か月間、私が娘に会ったのはわずか3回ほど。それまで毎日会っていたのに突然会えなくなるっていうのは寂しいものですね。1週間会わないだけで娘が急に成長してしまった気がするんですよ。単身赴任をしているお父さんの気持ちが少しわかった気がします。がんばれ、お父さん！！

ついに始まる新生活

新居が入居可能となり、ついに引越しの時がやってきました。長かった…。引越しと言っても大型の家具は一切ないので、実家の乗用車やレンタルの軽自動車などで少しずつ荷物を運びました。1日では終わらず、10往復くらいはしたと思います。

荷物の移動は完了しましたが、まだ生活を始められる状況ではありません。最低限の家電を揃えるため、ヤマダ電機へ向かいました。買ったものは洗濯機、冷蔵庫、炊飯器、掃除機、空気清浄機、除湿機など、しめて７０万円です！さらにIKEAやネットなどで少しずつ家具を揃えていったので出費は合計で１００万円ほど。それでもかなり手厚い保険に入っていたのでマイナスにはならずに済みました。

これにてついに新生活の始まりです！ここまで長くつらい１ヶ月は生まれて初めてでした。そして、ここまで周りの人に支えられた１ヶ月も初めてでした。優しく手を差し伸べてくれた家族や友人には、少しずつですが恩返しをしていきたいと思います。

娘の保育園も１ヶ月ぶりで心配しましたが、親の心配も他所に何事もなかったかのように先生と遊ぶ姿を見て安心しました。子供の存在は偉大です。娘がいなければこんなに頑張れなかったと思います。まあ、子供がいたから大変だったという面もあるかもしれませんが、それ以上に娘には支えてもらっていた気がします。ありがとう。

最後に：何でもないようなことが幸せ

自分が被災するなんて、普通に生活していたら想像も出来ないと思います。私もそうでした。

しかし、不意に訪れたとてつもなく長い１ヶ月間が、「当たり前の生活が当たり前のようにできることほど幸せなことはない」と気付かせてくれました。この経験は、私の今後の生き方に大きな影響を与えてくれそうです。

人や物に対する考え方も変わりました。常に感謝を忘れず、最低限のもので生活する。シンプルだけど難しい、そんな生き方を教えてくれた台風19号へ最後に伝えたい。

ありがとう。