この記事は、前回に引き続き2019年の台風19号で被災した我が家の体験談です。私たちの経験を通して、皆様が少しでも自然災害の恐ろしさを知り、そのための備えや心構えを身につけるキッカケになれば嬉しいです。
前回分をまだ読んでいない方はこちらをどうぞ↓
台風翌日
沈む心と晴れ渡る青空
目が覚めて外へ出ると、昨日が嘘のように広がる秋晴れと呼ぶに相応しい晴天。その青さは思わず写真を撮ってしまうほど。昨日見たものは全て悪い夢であってくれ。本気でそう思いました。
娘は実家の母に任せ、妻と二人で自宅へ向かうことに。なんとか雰囲気を明るくしようと車内ではお互い無理矢理ふざけ合いますが、それでもやはり家はどうなっているのだろうと考え、目からは自然と涙が溢れ出てきました。
そこでふと思い出してしまったのです。結婚式や娘のマンスリーフォトに使った思い出のグッズ達を押入れの下段にしまっていることを。この時は本気で落ち込みました。いくらお金を出しても買えない物ですから。ちなみに結婚式で使ったグッズというのはこれです↓
一変した我が家の日常
そんなことを考えているうちに自宅周辺へ到着しました。自宅近くのとある交差点を曲がると、信じられない光景が飛び込んできました。泥だらけの道路に運び出された家具家電、そしてそれらを黙々と運ぶ住民たち。
まさか昨日まで自分たちが普通に歩いていた道がこんなことになってしまうなんて、全く目の前の状況を受け入れることができませんでした。そんな光景を横目に車を徐行させ、ようやく自宅まで辿り着きました。何度も走った実家からの道程があそこまで長く感じられたのは今回が初めてでした。
エントランスを抜けると、同じ階の住人たちが既に片づけを始めていました。軽く挨拶を交わし、外廊下を歩いて玄関ドアの前へ。ザワつく胸を落ち着かせながら扉を開くと…
堰を切ったように室内から水が溢れ出てきました。そして部屋には濡れた井草の香りが充満していました。これが本当に気持ち悪い。とりあえず窓という窓を開放し、全ての部屋を確認していくことに。まず確認したのが、押し入れにしまっていた思い出のグッズたち。恐る恐る襖を開けてみると、あることに気が付きます。
「あれ?意外と濡れてない。」なんと最下段にしまっていたにも関わらずほぼ無事だったのです。これには泣きながら妻と熱い熱い抱擁を交わしました(笑)それにしてもなぜ無事だったのか?理由はこちらの記事で書いていますので気になるかたは読んでみて下さい↓
その後はそれぞれの部屋を順番に見ていきます。リビング、キッチン、寝室、バスルーム…マンションの1階である我が家は当然の如く全滅です。
壁についた汚れから水位を計測してみると室内で約60㎝。部屋自体が若干高くなっているため、外から計測すると1m以上の高さまで水が上がってきていたことが分かりました。
言い忘れていましたが、この部屋には半年前に引っ越してきたばかり(泣)しかし不幸中の幸いだったのは賃貸だったということ。これがもし持ち家だったとしたら…考えただけで恐ろしいですね。
金八先生が教えてくれたこと
兎にも角にもまずは建物の管理会社に状況説明の連絡を入れると、どうやら被害が出ているのは本当にごく一部の限られた地域のみとのことでした。なんという不運。続いて役所に電話をし、今後の流れややるべきことなどを聞き出します。
すると、玄関先から聞き覚えのない声が聞こえてきました。何かと思い玄関に向かってみると、上の階に住んでいる住人の方々が「手伝えることがあったら言って下さい!」と、手袋などを準備して駆けつけてくれたのです。ほとんど話したことすらないのに。もうなんか泣けてきますよ。「あぁ、人って支え合って生きているんだなぁ。」と30歳にもなって改めて実感しました。今書いていて気がつきましたが、ちょうど30歳、考え方を改めろと言われていたのかもしれませんね。
初日は何をすればいいかも分からず、自分たちも何の準備もできていなかった為、お手伝いは断りました。その後はワークマンやらドラッグストアやらで片付けに必要そうなものを買い出したり、コンビニでコーヒーを飲んで一旦全てを忘れたり。部屋に戻ってからは、室内の水を外へ掻き出し、確実に必要のないものをゴミ袋にどんどん詰めていきました。そうこうしている内に日も暮れてきたので、無事だったものは車に乗るだけ乗せて実家に帰ることしました。
最後の一仕事
実家に着いてまずやるのは、ママの帰りを待ちわびていた娘(パパも待っててくれたかな)に気付かれないよう、さくっとシャワーを浴びて体に染み付いた臭いや汚れを落とすこと。ゆっくり疲れを癒す暇もありません。その後は夕食をとり、娘を寝かしつけ、ようやく作戦会議です。片付けの流れや今後の住まいのことなどについて話し合ったと思います。とりあえず翌日は妻の家族に救援をお願いすることに決めました。
この日はどうやって寝たのかな。よく覚えていません。きっと泥のように眠っていたのでしょう。目が覚めれば窓の外には再び青空が広がっていました。
次回に続きます。
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